テレビなどで目にする「空家対策」。確かに、放置された空き家が近所にあると良い気持ちはしません。でも、具体的に何が問題になっているのか、よくわからない方も多いのでは?
今回は、空家があることで起きる問題と、その打開策として施行された『空家等対策の推進に関する特別措置法』(以下、「空家法」)についてお伝えします。
空き家放置で起こりうる危険!
まず、空き家放置で起こりうる危険を見ていきましょう。
空き家の不具合 | 想定される危険 |
---|---|
全体の傾き、主要構造の腐食 | 倒壊被害 |
屋上・外壁の剥がれ | 飛散被害 |
設備や門・塀の老朽化 | 脱落・倒壊被害 |
ゴミなどの放置、不法投棄 | 不衛生、害虫獣の増殖 |
窓ガラスや門扉の破損 | 不法侵入 |
植栽の不整備 | 害虫獣の増殖、道路通行上の妨げ |
これらの不具合は概ね複合的に発生し、更に放置期間と危険度は比例して伸びていきます。つまり、古い空き家ほど危険があります。加えて、放置され続けた空き家は、放火の対象にもなりやすく、近隣住民へ生活の不安を与えます。ちなみに、平成25(2013)年時点で空き家は全国に約820万戸あるといわれています。
今後も増えると予測される空き家数
このような問題を含んだ空き家ですが、以下の理由から、今後も増えると予測されます。
- 人口減少により、世帯数も2019年をピークに下降。
世帯が減っても、同時に家屋が解体されるとは限らず、空き家が残る。 - 介護施設の利用が増える
親と同居する子世帯が減り、親は介護施設へ入所すると、実家が空き家に。 - 建物があると土地は、固定資産税が優遇されるため、敢えて解体しない。
解体費用は高額で、解体後の土地活用も簡単ではない。 - 新築住宅のニーズが高い。対して、中古住宅の価値が低い。
空き家法の目的
このような現状を受けて、平成26年に公布(施行は平成27年)されたのが、「空き家法」です。第1条にこの法の目的が記されています。要約すると、以下の通りです。
- 地域住民の生命、身体または財産の保護。
- 地域住民の生活環境の保全を図る。
- 空家等の活用を促進する。
- 空家に関する施策を総合的・計画的に推進する。
- 公共の福祉の増進と地域の振興に寄与する。
これにより、国は空家に関する施策の基本指針を策定、市町村は国の基本方針に即した空家等対策計画を策定し、協議会を設置しました。なお、都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市長村相互間の連絡調整等必要な援助を行います。
次回は、「空家法」の具体的な施策について見ていきます。
参考資料
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(国土交通省)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法の概要(国土交通省)
- 空き家対策特別措置法(空き家法)を分かりやすく説明(土地カツnet)