築30年以上の物件は購入しても大丈夫なのか?インスペクターが解説します!

こんにちはオスカーハウジングスクエア アピタ金沢店です。
本日の内容は「築30年以上経過した中古住宅」についてお話します。

「築30年以上の住宅は価格も安くてお手頃だけど・・・」「長期間住むには不安があるよね・・・」

中古住宅で売りに出されている物件のほとんどは、物件資料に性能や耐久性などの開示情報はありません。多くの不動産業者は、「こちらの住宅は中古住宅なのでお客様がご自身でご判断下さい!」というような対応です。

それだと築30年以上の住宅は購入しづらいですよね。どうしても新築や築浅の住宅を優先してしまいますね。

今回の記事は、インスペクター(住宅診断)資格を持ち、100件以上の物件検査を実施してきたスタッフが「築30年以上経過した中古住宅の見極め方・チェックポイント」について解説します!

不動産購入不安

築30年以上の物件判断チェックポイント

耐震基準

以前の記事でも何度も説明をしておりますが、安心・安全な中古住宅を選ぶ基準として「新耐震基準」があります。1981年の建築基準法に改正され、壁量計算が義務化されました。地震力や風圧力に対して抵抗するための必要壁量が見直され、耐震性が大幅に増加しました。2000年には地耐力に応じた基礎構造や柱頭柱脚に金物指定されたりと現行基準に改訂されております。

耐震基準 建築日 特徴
旧耐震基準 1981年5月31日以前の建築確認 無筋基礎・壁量少ない
新耐震基準 1981年6月1日以降の建築確認 有筋基礎・壁量有
現行基準 2000年6月1日以降の建築確認 地耐力に応じた基礎構造・壁量有・柱頭柱脚に金物指定

中古住宅を選ぶ基準としては、新耐震基準以降の建築物を選ぶか、または購入後に耐震改修を行う必要があります。耐震改修についてはこちらの記事で解説しております。
>「中古住宅購入+耐震補強」のメリット・デメリット

断熱性能は無くて当たり前

築30年以上の住宅のほとんどが断熱性能が低いまたはほぼない状態です。木造住宅を例にすると、天井断熱はほぼなし、壁の断熱材はグラスウール50mm、床下断熱も落下しているなど、今まで見てきた物件の多くは断熱性が期待できない状態です。築30年以上の住宅を購入する場合は、断熱性能を我慢するか、リフォームで断熱性能を改善するかどちらかとなります。

部位 断熱改修方法(5地域の場合)
天井 天井点検口から侵入し、高性能グラスウール150mmなどを天井板などに敷き詰める(既存の断熱材の上の重ねる)
既存の窓の内側に、新たに内窓(プラマードU・インプラス)などを設置する
壁を解体する場合は、高性能グラスウール100mmなどを充填する。壁を壊さない場合は、既存の壁の上から断熱パネルなどを重ねて張りクロス仕上げなどにする
床を解体する場合は、高性能押出法ポリスチレンフォーム50mmなどを下地の間に敷き詰めて床を組む。床を解体しない場合は、床下に潜り吹付断熱を行う

室内の湿気・カビの有無を確認!換気計画も重要

住宅にとって湿気は大敵です。2003年7月以降に建築された建物は24時間換気扇などの設置が義務化されておりますが、築30年以上の場合は、トイレや台所などのスペースにしか換気設備がない家がほとんどです。物件を内見する場合は、床下に湿気が多い状態なのか、室内にカビが発生していないかもチェックしましょう。もし断熱性能を上げる場合は、さらに室内の湿気が外に逃げにくく、空気が滞留することになります。換気扇が不足している場合は、増設の検討も必要です。

部位 推奨換気扇
トイレ 24時間換気扇(人感センサー付き)
洗面所 24時間換気扇(湿度センサー付き)
浴室 個別換気扇(タイマー機能付き)
キッチン シロッコファン(手動または24時間連続)
クローゼット 24時間換気扇(湿度センサー付き)
居室 給気口や給排気換気扇

住宅の傾きの有無をチェックしよう!

次点で必要なことは、住宅の傾きがあるかないかの調査です。先ほど説明した耐震性の現行基準以前の住宅には、地盤調査や地盤改良などの義務はなく、地耐力に応じた基礎構造になっていない可能性があります。特に軟弱地盤や盛土などに造成された地域は、不同沈下などの地盤沈下が発生しやすいからです。建物が大きく傾いている場合、修復するには多額の費用が発生する可能性が高いため、購入は避けたいところです。

検討者自身で簡単に傾きを判断できるとしたら、「ビー玉」などを転がしてみることです。さらには内見時に室内ドアの開閉をしてみて自動に締まるアルミサッシの鍵がかかりにくいなどの症状が発生していたら専門家に相談してみましょう。

専門家が行うインスペクション(住宅診断)では、レーザーレベルなどを用い、各階・各部屋ごとにX方向、Y方向、斜め方向の傾斜を測定いたします。検査基準としては、約3mの区間で傾きの有無の判断を行い、上下階とも同じ方向に大きく傾いているようなら、不同沈下(地盤沈下)の可能性が高いと判断を行います。

6/1000以上の傾きは、木材の腐朽や重量物の載荷による変形、基礎の沈下、床組の変形等の原因が考えられ、劣化事象に該当します。

基礎コンクリートの状態をチェックしよう

ここからはさらに専門的なアドバイスとなります。住宅を支えている基礎コンクリートは30年から40年程度の寿命とされております。鉄筋コンクリートの寿命は永久的ではなく、中性化が進んで内部の鉄筋が錆びることで劣化が進行していきます。中性化の要因としては、雨風や湿気、紫外線などの影響により劣化が進んでいくと言われております。劣化症状である、基礎コンクリートのひび割れなどを放置するとますます基礎内部に雨水や湿気が侵入し、鉄筋を劣化させます。しっかり補修と表面の保護がされていれば寿命の年数も伸ばすことが出来ます。

基礎のチェックポイントを上げていきます。

  • 基礎の高さは30cm以上
  • 基礎の表面に保護仕上げ(モルタル・タイル)がしてあるか
  • 0.5mm以上のひび割れや深さ20mm以上の欠損・鉄筋の露出がないか
  • 基礎の換気口は4m以内ごとに設置されているか
  • 家の外周部に水たまりが発生させない対策がされているか

床の歩行間隔をチェック

中古住宅を内見してみると床のフカフカする!というのも珍しくもありません。それは構造の違いがあります。一般的な古い木造住宅の廊下や居室は合板フローリングの1重張り仕上げとなっております。床下の湿気が多い住宅では、経年劣化で合板の剥離が発生し歩行した場合に沈み込むような感覚になります。2階部分では床梁や床根太が乾燥伸縮により、床の傾斜が発生する箇所も出てきます。合板下地の無い古い住宅は、曲げやねじりに対して弱く、剛性が小さくなります。劣化症状が現れたら、既存の合板フローリングに釘の打ち増し、フローリングの重ね張りを行うことで改善させます。

床組の構造 床板
築浅 根太下地間隔303@ 合板下地+フローリングの2重張り
築古 根太下地間隔303@(※和室は455@も) 合板フローリングの1重張り

天井・壁に雨染みがないかもチェック

中古住宅で築30年以上経過している場合は、購入前に雨漏りの有無をチェックしてみましょう。内見時は、懐中電灯やスマートフォンのライトを使って、天井と壁の上部に雨染みがないか探してみましょう。一般的に瓦屋根などは、30年前後で棟部分や谷部分のリフォームが必要です。また平面部も締め直しや葺き替えなどの対応が必要場合もあります。スレート屋根や板金屋根、バルコニー防水などは、10年ごとに塗装が必要と言われております。

雨漏りが発生しやすい住宅の例を挙げると、

種類と場所 雨漏りが発生しやすい場所・部位
瓦屋根 棟、谷の直下
スレート屋根 棟、築25年以上
RC陸屋根の場合 排水ドレン直下
バルコニー 排水ドレン直下やサッシとの取り合い

雨漏りを放置すると白蟻の発生要因となる場合もあり、購入前に確実にチェックしておきましょう。
屋根や外壁の部位ごとに交換目安と金額をまとめた記事を参考に、購入前に今後のリフォーム計画をする必要があります。

【リフォーム相場】中古住宅の屋根・外壁リフォームは、いくらかかるのか?費用と修理時期を公開します!

水廻り設備はリフォーム前提で

築30年以上経過している住宅の水廻り設備は、交換が必要を考えておきましょう。前の所有者が定期的にリフォームを実施している場合もありますが、ボイラーやコンロなどは10年~15年単位に交換することがほとんどです。また便座や水栓などといった設備も10年~15年で交換目安と言えます。キッチン・浴室・トイレ・給湯器などの部位ごとに交換目安と金額をまとめた記事を参考に、購入前に今後のリフォーム計画を立てる必要があります。

【リフォーム相場】中古住宅の水廻りリフォームは、いくらかかるのか?費用と交換時期を公開します!

まとめ

今回の記事は「築30年以上の物件は購入しても大丈夫なのか」というテーマで解説しました。30年以上経過した住宅は大規模リフォームが必要な時期といえます。中古住宅は物件価格が安いことが最大の魅力ですが、購入後の維持管理とリフォームを計画を立てる必要があり、建築の専門家のアドバイスが受けた上で購入の判断を行うことを推奨します。中古住宅の売却や購入で不安を感じるようであれば、弊社の専門スタッフまでご相談下さい。

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