空家が全国的な問題となっていますが、北陸地方の空家についての、現状と対策はどのようなものでしょうか。データを元に、今回はその現状について見ていきます。
「北陸地方における空き家対策と取組事例」にみる空家の現状
国土交通省 北陸地方整備局 建政部が、平成27(2015)年3月にまとめたのが、『北陸地方における空き家対策と取組事例』です。ちなみに、同年2月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が一部施行されています。
これをもとに、まずは北陸地方の空家の現状についてお伝えします。(注:北陸地方整備局の管轄は新潟県・富山県・石川県の3県)
1世帯当たり住宅数の増加
住宅数及び世帯数は全国及び北陸地方とも、年々増加しています。1988年からの調査では、常に住宅数が世帯数を上回っています。下記に、1世帯当たり住宅数(住宅数÷世帯数)を記します。
(戸) | 1988年 | 1993年 | 1998年 | 2003年 | 2008年 | 2013年 |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 1.12 | 1.15 | 1.14 | 1.14 | 1.15 | 1.16 |
北陸地方 | 1.10 | 1.10 | 1.11 | 1.14 | 1.15 | 1.16 |
北陸地方は、1998年以前は全国平均以下でしたが、2003年以降全国平均まで増加しています。今後の人口減少による世帯数の減少から、「住宅が余る」状況が増加すると懸念されます。
空家率の増加
次に空家数、空家率を見ていきましょう。
空き家数
(空き家数・ 百戸) |
1988年 | 1993年 | 1998年 | 2003年 | 2008年 | 2013年 |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 1,131 | 1,253 | 1,605 | 2,029 | 2,375 | 2,651 |
北陸地方 | 39,400 | 44,800 | 57,600 | 65,900 | 75,700 | 82,000 |
空家率:空家数÷住宅数
(%) | 1988年 | 1993年 | 1998年 | 2003年 | 2008年 | 2013年 |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 9.4 | 9.8 | 11.5 | 12.2 | 13.1 | 13.5 |
北陸地方 | 8.0 | 8.2 | 9.6 | 11.5 | 12.8 | 13.7 |
空家数・空家率とも、全国及び北陸地方とも年々増加しています。空家率は2013年以降、北陸地方が全国を上回り、7~8戸に1戸が空家になっています。
空家の内訳
以上2点から、北陸地方の空家が増えているといえますが、注目すべきは空家の内訳です。
- 「二次的住宅」(別荘など)
- 「賃貸用又は売却用の住宅」
- 「その他の住宅」 の3つに分けられます。
「その他の住宅」は、転勤などのため長期不在の住宅や、取り壊す予定のあるものを指します。つまり、管理・処分方法が未定で、特に北陸地方の場合、木造一戸建が多いため、将来「特定空家等」に指定される可能性が高いのです(全国64.5%、北陸80.5%)。
このような状況を生み出す要因は何であるか、次回お伝えします。
参考資料
- 国土交通省 北陸地方整備局 建政部『北陸地方における空き家対策と取組事例』(平成27年3月)
1.北陸地方における空き家問題の現状と課題
1-1.住宅事情の変化と現状、1-2.空き家数の推移と状況