空家問題への取組として、北陸地方で64自治体中23自治体(35.9%)が「実施済み」「準備中、又は実施予定」とされている「除去支援」。今回はこちらについて紹介します。空き家を取り壊して土地を売却したくても、家の取り壊しには多額のお金がかかるため、空き家問題を解決していく上で除去支援はとても助かります。
除去支援の目的
前述の通り、北陸地方の除去支援は全国平均23.1%に対して高い方ですが、それでも他の支援に比べて少ない方です。
まずは、除去支援の目的について記します。
防災 | 防犯 (犯罪等) |
景観・風景の阻害 | ごみの不法投棄 | 衛生 (害虫等) |
害鳥獣 | 植物繁茂 | 交通障害 | 積雪に伴う被害 | 積雪以外の台風等に伴う被害 | 地理的条件 (崖地のそば等) |
その他 | |
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全国 | 84.1 | 57.4 | 51.2 | 25.0 | 30.9 | 17.1 | 21.2 | 27.9 | 21.5 | 27.1 | 3.8 | 26.3 |
北陸地方 | 84.2 | 73.7 | 42.1 | 10.5 | 31.6 | 15.8 | 15.8 | 26.3 | 42.1 | 47.4 | 0.0 | 19.7 |
全国・北陸地方とも、「防災」が最も高い割合を占め、次いで「防犯」「景観・風景の阻害」となっています。それ以外に北陸地方では、「積雪に伴う被害」が高いく、豪雪地帯の特徴といえます。
除去支援の対象
除去支援の対象施設は、「空家住宅」が全国・北陸地方とも80%以上を占め、除去後は全国で72.8%、北陸地方で63.2%が「空家等所有者が助成を受けて除去し、跡地を本人や自治会等がそのまま利用」となっています。
北陸地方の除去対象の基準は、「独自の判定基準」が41.2%(7自治体)、「住宅地区改良法による不良度の測定基準」が35.3%(6自治体)、「その他」が35.3%(6自治体)と多様で、基準が統一されていない状況です。
除去後の跡地要件
除去後の跡地要件は、北陸地方では50%(9自治体)と全国の25.1%に比べ高い一で設定されていて、自治会等の管理による場合が多いです。
除去支援の一例
では、実際に除去支援を行っている自治体を紹介します。
新潟県燕市 空家解体撤去費助成
対象 | 管理不全(老朽化)の空家の撤去工事 |
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助成 | 対象工事費の2分の1助成(限度額50万円) |
条件 | 空家・空地活用バンクへの登録義務(他者へ賃貸・売却を目的とするもの) |
富山県高岡市 老朽危険空家除去支援事業
対象 (事前調査による判定が必要) |
一戸建て(付属建物は除く)のもの、建物の過半が昭和56年5月以前に着工されたもの)老朽度判定基準(倒壊や外装材の落下又はそれらの危険性があるもの等)で、100点以上の評点であるもの)、近隣及び道路等、周辺への危険度判定基準を満たすもの |
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助成 | 補助対象経費の2分の1、50万円が上限 |
対象 | 老朽危険空家の所有者、所有者の委任を受けた者、相続関係人 |
興味のある方は、自身の住んでいる地域に改修支援はあるか、一度確認してみてください。固定資産税の問題(空家を除去し更地にすると、固定資産税が高くなる)もあるので、除去に対して支援は、ありがたいですね。
参考資料
- 国土交通省 北陸地方整備局 建政部『北陸地方における空き家対策と取組事例』(平成27年3月)(注:北陸地方整備局の管轄は新潟県・富山県・石川県の3県))
2.北陸地方における空き家対策に関する取組
2-7.除去支援