空家を除去して更地にすると、固定資産税が高くなることから、空家の除去が進まないという現状があります。ただ自治体によっては、減免措置を設けているところもあります。
固定資産税の税率
土地の状態別に固定資産税の税率を見てみましょう。
土地の状態 | 固定資産税 |
---|---|
空地(更地で建物がない状態) | 課税標準額×1.4% |
1戸につき、200㎡以下の住居用地部分(小規模住宅用地) | 課税標準額×6分の1×1.4% |
1戸につき、200㎡以上の住居用地部分(一般住宅用地) | 課税標準額×3分の1×1.4% |
「空家対策特別措置法」の施行により、自治体が「特定空家等」と判断した場合、固定資産税の「住宅用地の特例」という優遇処置が適用されなくなることが、決定されました。これがなくなることで、住宅の用地(土地)に対し最大6分の1に軽減されていた固定資産税がもとの税率に戻り、今までの6倍の額になります。
固定資産税の減免措置の一例
こういった現状に、自治体が全く手をこまねいているわけではありません。以下に、減免措置の事例を紹介します。
新潟県見附市
市の求めにより解体し更地になった住宅用地、著しく老朽化し家屋としての構造上の条件を失ったもので、安全措置を行う同意がなされている住宅用地には、固定資産税の減免措置を最長2年間実施。
富山県富山市
老朽家屋と認定された土地には、住宅用地特例の適用を除外。
富山県中新川郡立山町
老朽化住宅と認定された土地には住宅用地の特例を適用せず、老朽住宅を撤去等した住宅用地には、固定資産税の減免を最長2年間実施。
とはいえ、自治体独自の財政支援策には限界があり、総務省では、老朽化による建物の倒壊や資材等の飛散・落下等の危険性の高い空家については固定資産税の減免措置を行うことを検討しているそうです。
数回にわたり、空家問題についてお伝えしましたが、まずは「特定空家等」に判断されないように、計画的に空家の手入れをすること、もし「指定」され助言・指導がされたら、すみやかに改善しましょう。改善が認められず「勧告」を受けると、前述のように固定資産税が6倍になってしまいます。法律を理解し支援を活用して、空家も一つの財産にできたらいいですね。
参考資料
- 国土交通省 北陸地方整備局 建政部『北陸地方における空き家対策と取組事例』(平成27年3月)(注:北陸地方整備局の管轄は新潟県・富山県・石川県の3県))
2.北陸地方における空き家対策に関する取組
2-8.固定資産税の減免措置