中古住宅の「既存不適格建築物」とは?購入しても大丈夫なのか!

みなさんこんにちは!オスカー不動産アピタ金沢店です。

都市計画法や建築基準法の改正がされるたびに「既存不適格建築物」といわれる建物が増加していきます。中古物件として売りに出される件数も増加傾向ですね。「既存不適格建築物」は、かつては合法的に建設されたものの、現在の法律や規制に適合しない状態となった建物のことです。本ブログでは、既存不適格建築物の定義やリスク、そして所有者が取るべき対策について詳しく解説していきます。

既存不適格建物

既存不適格建築物とは?その定義について

既存不適格建築物は、当時の法律で建築確認を実施し建築されたものの、その後に法改正され、現在の法律や施行令、規制に適合しない状態となった建物のことです。建築基準法3条の2項を確認してみると、現に建っている建築物には適用しないと記載されており、法改正がされると既存の建物は「既存不適格建築物」となります。例えば、建物の建築後に都市計画の「建ぺい率」が変わった、建築基準法で「耐震基準」が強化された、「省エネ基準」が導入された、消防法で「火災報知器」の設置が義務付けられたなどです。

建築基準法第3条第2項
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

既存不適格建築物の中古住宅を購入しても良いのか

既存不適格建築物の中古住宅を購入した場合にどのようなリスクがあるのでしょうか。事前にポイントを抑えることで、購入するしないの判断を行いましょう。

旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建てられた建物を購入する場合、税制面の優遇措置がありません。登録免許税、不動産所得税などの物件購入時に発生する各種税金や住宅ローン減税などは、原則現行の耐震基準に適合している住宅であることが条件の一つになっています(※耐震改修を行う場合を除く)。中古物件購入後に、カーポートや部屋などを増築したい場合は、確認申請が必要となるケースがほとんどなので、事前に建築士に相談しておきましょう。

耐震基準で購入の判断をする場合は、こちらの記事を参照下さい。
>大地震の備え!住宅の耐震性について今一度チェックしよう!

既存不適格建築物を購入するリスク 具体的の制限
建替える場合の制限 既存の建物を建て替える場合は、現行法(建築基準法・都市計画法・消防法・条例)に適合する必要があります。道路や建蔽率、容積率、地区計画、建築高さ制限、内装制限など(一部抜粋)に適合する必要があります。
増築時の制限 既存の建物に増築を行う場合にも、上記の制限がかかります。「10㎡以上の増築工事」「準防火地域、防火地域の増築工事」を行う場合は建築確認が必要になります。
借入が出来ないことも 既存不適格建築物の中古物件については、金融機関によっては融資が受けれない場合もあります。旧耐震構造や建蔽率、容積率オーバーの中古物件は要注意。
耐震性の問題 旧耐震基準の建築物は、大規模地震が発生した場合に損壊・倒壊する危険性があります。

既存不適格建築物の所有者が知っておくべき法律と対策

建築基準法

建築基準法第8条では、建物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならないとされており、努力義務となっております。例えば「旧耐震基準」で建てられた一般住宅を耐震補強し「現行基準」に適合するようにしなければならないかというと所有者の任意となります。しかし耐震改修促進法では、不特定多数の方が訪れる「要緊急安全確認大規模建築物」と、避難路の沿道等の「要安全確認計画記載建築物」を対象に耐震診断を義務付けています。大型施設や公的な施設が対象となるようです。

ただし建築基準法第10条3項では、都道府県知事などの特定行政庁は、既存不適格建築物の所有者、管理者、占有者に対して、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができるとされております。建築時に適法で建築されていても、維持管理が適切にされておらず、危険な状態、有害な状態で放置すると行政から指導を受ける可能性があります。

建築基準法第8条(維持保全)
第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

2 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物については、この限りでない。
一特殊建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの
二前号の特殊建築物以外の特殊建築物その他政令で定める建築物で、特定行政庁が指定するもの
3 国土交通大臣は、前項各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者による同項の準則又は計画の適確な作成に資するため、必要な指針を定めることができる。

建築基準法第10条(著しく保安上危険な建築物等の所有者等に対する勧告及び命令)
第十条 特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。

2 特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

3 前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。
4 第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。

また民法717条第1項では、「工作物責任」が明記されており、占有者が一次責任を負い、占有者に瑕疵等がなければ所有者が二次責任を負うと明記されております。また第三者に損害がある場合は、占有者→所有者の順に損害賠償責任を負う可能性があります。

民法第717条第1項
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

所有者が注意すべきポイントと対策

土地や建築物を所有している場合は、建築基準法や民法上で指導・責任を負う可能性があります。土地の場合は、樹木や雑草などの管理を行い、建築物の場合は、屋根や外壁などの劣化対策を行い、構造や設備に関しても適切な状態に保ち、第三者に迷惑や損害を与えないように注意を払う必要があるといえます。

いかがでしたでしょうか。今回の記事では「中古住宅の「既存不適格建築物」とは?購入しても大丈夫なのか!」というテーマで内容を解説しました。また中古住宅の購入について他の記事も参考にしてみて下さい。

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執筆者

株式会社OSCAR オスカー不動産(アピタ金沢店)

加賀谷貴志 お問合せはこちら

2004年新卒入社後、工事管理、リフォーム営業、商品開発などの業務を歴任。2015年より中古住宅のインスペクション業務(検査)を担当。現在は不動産事業の仲介業務を担当。保有資格(宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、二級建築士、既存住宅状況調査技術者、耐震診断・耐震改修技術者)

 

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