前回の記事では、北陸地方の自治体が行っている空家問題への取組状況を見てきました。そのなかで、多くの自治体が実施しているのが、空家バンク。「実施済み」または「準備中、又は実施予定」の自治体は、北陸地方全体の67.2%(全国平均45%)を占めます。
空家バンクとは?
空家バンクとは、自治体または自治体から委託を受けた団体が運営する、空家の所有者と利用希望者を、引き合わせる仕組みです。自治体が主体のため、営利目的ではありません。
自治体としては、空家が社会問題となっている今、危険な空家を減らし、できればそこに外部からの移住者が住み、人口を増やして税収を上げたいという思惑もあります。このような背景から、空家情報を広く集め、外部に情報提供する空家バンクが生まれたのです。
空家バンクの仕組み
空家所有者・空家利用希望者・自治体の三者が、空家バンクに関わります。自治体は、所有者と利用希望者を引き合わせると、契約・売買には関与しませんが、当事者間のトラブルを避けるため、不動産業者などが仲介に入ることがあります。
北陸地方では、富山県南砺市、石川県金沢市・石川県小松市などで、不動産業者などが仲介に入っています。
空家バンクの現状と課題
全国的にみて、空家バンクの活用は進んでいるとはいえません。状態の良い空家は不動産業者に依頼しますし、空家を手放したくない所有者も多いことから、登録物件はなかなか増えないようです。
また、空家を売買するにも費用がかかるので、その補助制度のあるなしで活用件数も変わってきます。前述したように、北陸地方は全国から比べても高い実施率ですがそれでも課題は多いようです。
- 物件数が少なく、需要と供給のバランスが取れていない。
- 物件登録に調査が必要。
- すぐに住める状況にないため、契約が成立しないこともある
など
色々と課題のある空家バンクですが、不動産業者が扱わない古い物件も掲載してくれる可能性はありますし、登録は無料です。また、自治体によっては、所有者向け・購入希望者向けに補助制度が用意されている場合もあります。登録して損はないので、迷っている方は、是非一度相談されてはいかがでしょうか。
参考資料
- 国土交通省 北陸地方整備局 建政部『北陸地方における空き家対策と取組事例』(平成27年3月)
(注:北陸地方整備局の管轄は新潟県・富山県・石川県の3県))北陸地方における空き家対策に関する取組 - 土地カツnet 「空き家バンクとは?自治体の取り組みとメリットデメリット」