住宅の新築・購入で知っておきたい住宅ローン|金利の仕組みと金利タイプを選ぶコツとは?

住宅ローンは借入金額が高額になることから、わずかな金利の違いでも返済額に大きな影響を及ぼします。そのため、十分に金利を確認し、ご自身に合った住宅ローンを見つける必要があります。しかし、住宅ローンの金利にはいくつかの金利タイプがあり、どれを選べばよいのか迷われる方も多くいらっしゃいます。

この記事では、住宅ローンを選ぶ際に必要な基礎知識、また、金利タイプを決める際のコツについて解説いたします。ぜひ最後までご覧いただき、住宅ローン選びに役立ててください。住宅の新築・購入で知っておきたい住宅ローン|金利の仕組みと金利タイプを選ぶコツとは? キャッチ画像

1. 住宅ローン金利の基礎知識

ローン商品は借入の目的に合わせいくつもあり、それぞれに「金利」が設定されていますが、住宅ローンの金利は他のローン商品の金利とは少々異なります。まずは、ぜひ知っておきたい住宅ローンの基礎知識について見ていきましょう。まず、住宅ローンの金利ですが、「変動金利型」「固定金利選択型」「全期間固定金利型」の3つのタイプがあり、金利が決まるルールがそれぞれ異なります。

変動金利型

変動金利型とは、おおよそ半年に1回をめどに金利が見直される仕組みです。借りる側にとってのリスクが高いため、固定金利型よりも低い金利が設定されています。また、金利の動きを見ながら固定金利タイプに変更することができるのも、変動金利タイプの特徴です。

現在、非常に低金利になっているため、とてもお得な金利タイプですが、今後も金利が低いという保証はありません。金利が上がって利息が増える可能性もあるので、注意が必要です。 基準となる金利の動きに注目し、必要に応じて金利タイプを変更することも検討してください。

固定金利選択型

固定金利期間選択型は、住宅ローン契約時から数年間は同じ金利で返済し、一定期間終了後に金利を見直すタイプです。仮に金利を見直すタイミングを10年後とした場合、10年後に金利が上がっていれば全期間固定金利型よりも利息が増える可能性があります。

逆に金利が下がっていれば、全期間固定金利型よりも利息が減る可能性も。金利を見直す際は、再度、金利タイプを選択することになりますので、そのときの状況にあわせた返済計画を立てられるのが特徴です。

全期間固定金利型

全期間固定金利型は、お金を借りたときから返済が完了するまで金利が変わらないタイプをいいます。基本的に返済額も返済完了まで同じ金額になります。総返済額も変わらないため、返済計画が立てやすいのがメリットです。後に金利が上がったとしても、借りたときの安い金利が適用され続けるのでお得ではありますが、逆に金利が安くなれば、高く支払うことになるので損をする可能性もあるので注意が必要です。

また、支払方法にも「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの種類があります。一般的には「元利均等返済」を選ぶことがほとんどですが、支払方法によっても返済額が変わるため、それぞれの内容について把握しておきましょう。

元利均等返済

元利均等返済は、借入の元金と利息を併せた返済額を毎月一定とする返済方法です。返済当初は、毎月の返済額に占める利息の割合が大きくなっています。そのため、返済期間の前半は、残債の減少が緩やかになっています。一方で、返済期間の最終段階では、返済金額に占める元金の割合が大きくなっていきます。毎月の返済金額が一定とはいえ、変動金利で借りている方の借入金利が上昇した場合や、固定金利選択型の当初固定金利期間が終了したことに伴い金利が上昇した場合には、毎月の返済額が上昇します。

元利均等返済のメリットは、毎月の返済額が一定であるため、返済計画が立てやすい点です。住宅ローン支出が固定されるため、緊急時資金や、資産形成に必要な貯蓄用の資金を確保しやすくなります。逆に、総返済額が元金均等返済と比較して大きくなってしまう点がデメリットといえます。元利均等返済を選択した際には、期間短縮型の繰上げ返済を行うことで、収入が減少する時期までに完済をしておくことが有効です。

元金均等返済

元金均等返済とは、住宅ローン返済の初めから完済まで毎月の返済額に占める「元金の返済額が一定」という返済方法です。利息部分はローン残高を元に計算するため、ローン残高が多い初期のほうが高くなり、ローン返済終盤になると少なくなります。そのため、毎月の返済額もローン初期は高くなり、徐々に減っていくことが特徴です。元金均等返済の大きなメリットは、同じ返済期間を設定した場合、総返済額が元利均等返済に比べて少なくなる点ですが、先ほどご説明したとおり借入初期の返済額が高額となることがデメリットといえます。

2.返済額における金利の影響とは?

では、金利が0.1%上がると、住宅ローンの返済額はどのように変わってくるのでしょうか?次の事例を参考に金利の影響を見てみましょう。

参考事例) 借入額:3,000万円 返済期間:35年 金利:1% 支払方法:元利均等返済

返済期間 金利 月々の返済額 返済総額 利息 差額
35年 1.00% 84,685円 3,557万円 557万円
35年 1.10% 86,091円 3,616万円 616万円 59万円
35年 1.20% 87,510円 3,676万円 676万円 60万円

このように、金利が0.1%変わるだけで、60万円近くの返済額の差が生まれます。当然、金利が低いほど、返済額の負担は少なくなります。このため、金利が低いと言われるタイミングが借入れのチャンスです。

3. 住宅ローン金利が変動する要因とは?

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では、次に住宅ローンの金利が決まる要因について見てみましょう。これは、まず日本銀行(以下日銀)の金融政策に大きく左右されています。固定金利は「長期金利の上昇」に、変動金利は「短期金利の動向」にそれぞれ影響を受けます。日本銀行の金融政策はこちら:https://www.boj.or.jp/

これまで日銀は景気の下支えとして、2016年から短期金利をマイナス0.1%に、長期金利を0%程度に保つ金融政策を続けてきました。これにより、低金利が実現し、民間銀行の住宅ローンの変動金利は0.3%台や0.4%台となっています。しかし、日銀は2024年3月に「イールドカーブコントロール」「マイナス金利政策」を解除することを決定したため、大手銀行は次々に住宅ローンの金利を引き上げています。

次になぜ日銀の金融政策が金利に影響するのかをより詳しく理解するため、「プライムレート」についてご紹介いたします。

プライムレートと住宅ローン金利の関係

「プライムレート」とは、金融機関が優良企業に対して融資を行う際の優遇金利のことで、長期金利と短期金利の2つがあります。金融機関が独自に設定する住宅ローン店頭金利の変動金利は、ほぼ短期プライムレートの動きに連動しています。そして、住宅ローンの金利は毎年2回、4月1日と10月1日に短期プライムレートに応じて見直されています。

短期プライムレートは日銀の政策金利に影響を受けます。日銀は好景気になれば、政策金利を引き上げて、不景気になれば政策金利を引き下げます。2024年7月31日には日銀は、政策金利を「0.1%」から「0.25%」程度に引き上げる追加の利上げを決めました。賃金上昇、物価上昇が想定される現在では、政策金利が上昇局面に入ったといえます。

一方、長期プライムレートは国の政策や国債の利回りなどに連動しています。景気連動型の短期プライムレートと国の政策連動型の長期プライムレートでは、その金利の動きに違いがあり、動きが活発な長期プライムレートが短期プライムレートに先行して動いていきます。

長期プライムレート ・優良企業へ1年以上の融資を行う場合の最優遇金利
・国の政策、長期国債の利回りなどに連動している
・フラット35のような長期固定型住宅ローンの金利に影響がある
・レートの動きが活発で短期プライムレートに先行して動く
短期プライムレート ・優良企業へ1年未満の短期貸し出しにおける最優遇金利
・景気に連動している
・住宅ローンの変動金利に影響がある
・長期プライムレートに比べ動きが鈍い

長期プライムレートは、国の政策と長期国債の利回りがポイントになります。国債はたくさんの人が買うと利回りが下がり、買う人が少ないと利回りが上がる仕組みです。これは株式とは逆の仕組みです。国債とは国の借金であり、国の政策でその発行枚数を決定し、その分の国債が発行されるということになります。それに対してたくさんの人が「買いたい」となれば、国債の利回りは下がります。

そしてこれまで、長期国債の多くを金融機関と日銀が購入し利回りが上昇しないようにコントロールしてきました。2024年3月には長期金利を抑える長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を解除し、徐々に国債の買い入れ額を減らしており、足元では10年物国債の利回りが上昇してきております。

3.住宅ローンの金利タイプの選び方のコツ

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さて、ここまで住宅ローンに関する知識についてご紹介してきましたが、ここからは皆様が気になる金利タイプの選び方のコツについて解説いたします。変動金利と固定金利、どちらにもメリット、デメリットがあり、どちらがおすすめかは人によって異なります。住宅ローンの金利タイプ選択に迷った際は、以下のポイントに注目して金利を選んでみてください。

変動金利型がおすすめな方

市場金利が低い状況下では、変動金利は一般的に固定金利タイプよりも金利が低く設定されていることが多いため、なるべく総返済額を少なくしたい方におすすめといえます。一方で、金利が上昇しているような状況では注意が必要です。日銀は2024年3月の金融政策決定会合で、大規模緩和策の一環で実施していた「マイナス金利政策」を解除することを決定しました。

このような金利上昇局面においては、今後住宅ローン金利も変更されることが想定されます。変動金利タイプを検討する際には、将来的に金利が上昇するリスクがあることを念頭に、無理のない返済計画を立てて選択すると良いでしょう。

固定金利選択型がおすすめな方

住宅ローンを利用しているときも、将来に備えてお金を増やすことは大切です。計画的に貯蓄や資産運用をしたいと考えている方は利息を予想しやすい固定金利選択型がおすすめです。また、固定金利の期間が長ければ、さらに利息を予想できる期間も長くなり、より計画的に貯金や資産運用をできるようになります。

一方で、固定期間終了までは金利を見直すことができないため、借入後に金利が低下した場合にはすぐにメリットを享受できるわけではないので、注意が必要です。

全期間固定金利型がおすすめな方

住宅ローン金利が返済終了まで一定で変わらないため、将来の金利上昇が不安な方、完済までの返済計画を確定させたい方には全期間固定金利をおすすめします。一方、全期間固定金利型は一般的に他の金利タイプより金利が高い傾向にあります。そのため、借入後に金利が低下した場合は金利変動のメリットを享受できず、総返済額が多くなる可能性があることに注意が必要です。

まとめ

住宅ローンは高額な借入となるため、慎重に選択する必要があります。どの住宅ローンにしようか迷ったときは、金利タイプに注目しましょう。変動金利タイプの住宅ローンを選ぶと、今の時勢に合った金利が適用されますが、住宅ローンの総返済額の予想がつきにくいという点には注意が必要です。

一方、固定特約金利タイプの住宅ローンなら固定期間中は利息の予想がつきやすいですが、固定金利期間中に基準金利が低くなると、低金利の恩恵を受けにくいという点に注意が必要です。

いずれの金利タイプでも、金利の急激な変化によって利息や住宅ローンの総返済額が変わることがあります。定期的に金利を確認し、必要に応じて住宅ローンの返済計画を見直しましょう。

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