家を売る時にやってはいけないことは実は多く存在します。特に初めて家を売る人は知らず知らずのうちに、それらのことをやってしまいがちです。本日は、売却活動の段階別にやってはいけないことを事前に確認しておきましょう。
1 やってはいけないことリスト
まずは、売却活動の段階別にやってはいけないことをリストにまとめてみました。
売却準備中 | 金融機関にローン残高を確認しない+連絡しない 急いで売り出す 売却価格が低くなることを把握せず買取を選ぶ 必要な費用・税金を調べない 無闇にリフォームしてしまう |
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売却活動中 | 売出価格を高く(もしくは低く)しすぎる 価格交渉に応じない 不動産会社に任せきりにする |
契約後 | 売買契約書の内容を確認しない 税控除の特例を調べない 確定申告をしない(忘れる) |
それでは、それぞれの内容を順番に解説していきます。
2 売却準備中にやってはいけないこと
金融機関にローン残高を確認しない+連絡しない
住宅ローンの借入をしている場合、売却時にはローンを完済して金融機関による「抵当権」を抹消する必要があります。そのため、売却価格がローン残高を上回るか確認するためにも、事前にローン残高の確認を行いましょう。ローンが完済できない価格で売却を進めても、結果的に売買が延期されたり取り消されたりする可能性があります。また、抵当権の抹消には金融機関による手続きが必要になります。金融機関には事前の連絡を怠らないよう注意しましょう。
急いで売りに出す
売却活動を急ぐ家の売却活動にはどんなに短くても半年ほどの時間が必要だと思ってください。余裕を持たず、急いで売買契約を結ぼうとすると、焦って安い価格で売却してしまうことがあります。その上で、急いで売却しないといけない事情がある場合以外は、しっかり時間を取って余裕のある売却スケジュールを設定するようにしましょう。
メリット、デメリットを理解せず、買取を選択す
家の売却方法には、「仲介」と「買取」の2種類の方法があります。買取は不動産会社が買主となる為、一般的に仲介よりも短期間で売却できるというメリットがある一方で、仲介よりも売却価格が低くなる傾向にあるというデメリットも存在します。
仲介 | 不動産会社に買主を探してもらう |
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買取 | 不動産会社が買主となって、家を買う |
売伽額が低くなるのはナゼ?
「仲介」では、一般的に近隣相場と比較して売却価格を決め、売却活動を行います。「買取」では、不動産会社が物件を買い取った後、売りに出すことになるため、売却益を想定して売却価格よりも低い価格で買取を行うことになります。このように、買取にもメリット・デメリットが存在します。それらを考慮したうえで、ご自身の事情と照らし合わせて売却方法を決めるようにしましょう。
売却時の諸経費、税金を調べない
家を売却するときには、様々な費用や税金がかかります。
それらがいくらくらいになるのか予め見積もっておかないと、最終的な利益が想定よりも低くなってしまいます。代表的なものでは、「売却活動を依頼した不動産会社への仲介手数料」や「住宅ローンの繰上げ返済手数料」、「抵当権の抹消にかかる費用」などです。家を売却する際は、事前にそれぞれの内容を確認し、ご自身のケースで費用が必要になるのかどうか調べておきましょう。
なお、過去に不動産売却時の費用についてご紹介しておりますので、こちらもぜひご覧になってみてください!
リフォームしてから売りに出す
売却する家を売主が事前にリフォームすることはおすすめしません。売却する家が古い場合、リフォームした方が早く売れるのではと思われるかもしれませんが、買主の中には古い家を安く買って自分の好みに合わせてリフォームしたいと思っている方が多くいます。
そのように考えている買主にとって、リフォームした部分が好みに合うとは限りませんし、またリフォームにかかった費用を上乗せする場合、価格が高くなり、かえって買主が見つからないということもあります。リフォームが必要かどうかは、まず不動産会社に相談することをおすすめします。
3 売却活動中にやってはいけないこと
不利な情報を隠す売主には不動産会社の査定時や購入希望者の内覧時など、物件の情報を正しく伝える責任があります。売主には買主との売買契約の際、「契約不適合責任」が課されます。「契約不適合責任」とは、商品に品質不良、品物違い、数量不足、その他の不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
つまり、売買する商品に問題がある場合には、買主は売主に対して補償を請求したり契約を解除することができるというものです。後々のトラブルを避けるためにも、自身が知っている情報についてはマイナスなものだとしても誠実に買主に伝えましょう。そのうえで、売主、買主が納得して契約を結ぶ事が大切です。
相場と比較して売出価格を高く(もしくは低く)しすぎる
売出価格(初めて売りに出すときの価格)は相場と比較して、適正な価格に設定しましょう。売出価格を相場よりも高くしすぎると、買主が見つからず、売却に時間を要することになります。また、家の売却では買主から値引き交渉されることが多いため、最終的な売却価格は売出価格よりも若干低くなることが一般的です。そのため、低く設定した場合には希望する売却価格を下回ってしまったり、値引き交渉に応じることができないことで売却機会を逃す可能性もあります。
買い手も相場はある程度把握していることが多いため、最低限この価格じゃないといけないという最低価格を決めて、相場と乖離しない範囲で最低価格よりも高い売出価格を設定しましょう。
価格交渉に応じない
先ほどもお伝えしましたが、家を売却する際に価格交渉されることはよくあることです。そのため価格交渉に応じず全て拒んでしまうと、家の売却は困難なものになります。ご自身の中で妥協できる範囲(最低価格)を予め想定しておき、その基準に基づいて価格交渉に臨みましょう。
不動産会社に任せきりにする
家の売却活動において、売却を依頼する不動産会社選びは重要なポイントです。ですが、全てを不動産会社に任せきりにしてはいけません。販売の際に使用するチラシや、情報掲載サイトの内容はご自身でも確認するようにしましょう。物件のおすすめポイントなど売却活動に役立つ情報を伝えることができるはずです。
また、不動産会社からの活動報告を確認し、定期的に販売戦略の方向性(高く売りたい、早く売りたいなど)について希望を伝えることも怠らないようにしましょう。売主はあくまでご自身であり、不動産会社は売却活動のパートナーです。このことを忘れず、一緒に売却活動に参加していくことが大切です。
4 契約後にやってはいけないこと
売買契約書の内容を確認しない
買主と売買契約を行う際、不動産会社から売買契約書と重要事項説明書について説明されますが、売買契約後にその内容を変更することはできません。もし売買契約後に売主の都合で売買をキャンセルすると、解約にともなう違約金がかかってしまいます。後から変更したりキャンセルしたりすることのないよう、不動産会社から契約書と重要事項説明書を事前に入手し、内容を確認しておきましょう。その際、専門用語などで内容が理解できない箇所もあると思います。
不明箇所については、契約当日の質問事項としてまとめておきましょう。
税控除の特例を調べない
家を売却する際、売却価格が取得時にかかった費用などを上回る場合には譲渡所得(売却益)が生じます。発生した譲渡所得については税金(譲渡所得税)が課されますが、この税金を控除できる特例があります。これらの特例を活用することで最終的な利益を高められる場合がありますので、必ず調べておきましょう。
税金控除の特例(売却によって譲渡所得が発生した場合)
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
過去のブログにてそれぞれの特例の内容について詳しくご紹介しております。ぜひご確認ください!
>居住用財産の3000万円控除とは?適用要件と手続きの流れを解説!
>10年超所有軽減税率の特例とは?適用要件と手続きの流れを解説!
>居住用財産の買換え特例とは?適用要件と手続きの流れを解説!
確定申告をしない(忘れる)
売却後の手続きで忘れやすいのが確定申告です。家を売却して利益が出た場合はもちろん、先ほどご紹介した特例を利用するのにも確定申告を行う必要があります。また確定申告を怠った場合には、遅滞税や無申告加算税などのペナルティが発生することがあります。面倒だと思っても、後回しにせず、早めに申告の準備を行いましょう。
まとめ
ここまで、家の売却においてやってはいけないことをご紹介してきました。家の売却はそう頻繁に行うものではないと思います。皆さん、不安で何をしてよいのか迷うのも無理はありません。家の売却を検討される際は、ご紹介した内容を参考にしてみてください。
最後に、家の売却は非常に専門性の高い取引であり、多くの知識が必要になります。個人の方では分からない事、難しいことがあり、専門家の力が必ず必要になります。そのため、信頼できる不動産業者や専門家をパートナーに選ぶことも心がけてください。